2018年8月25日土曜日

・「究極のアコギの話」その1〜MARTIN D45 1972 ジャーマンスプルーストップ

マーチン D45というとまさにキングオブフラットトップと呼ばれるアコギの王様ですね。

世界のマーチンの最高峰モデルです。



1933年に誕生し、戦前にごくわずか91本のみ制作されています。

戦前のD45は幻のギターと言われていますね。




ウィキペディアにはD45の戦前モデルについての詳しいページまであります。


https://ja.wikipedia.org/wiki/オリジナル_Martin_D-45_(_Pre_War_D-45_)_のリスト


すごいですね。。一本一本の詳細がかなりの程度知られているようです。


記事の中で、グルーンギターズの名前がたくさんでてきますね。

かの有名なグレーベンさんもグルーンギターズ出身です。グルーンギターズでビンテージマーチンのリペアをされていたのですね。

その時に戦前(PRE WAR)のD45を弾かれてそれを目指して製作されているという記事を読んだことがあります。


1933~1942年までに91本作られ、製作が中断されます。



その後1968年に製作が再開されますね。



68年 69年はマーチンがまだハカランダを使っていた時代ですね。

69年にハカランダがワシントン条約にかかります。D28も69年以降ハカランダではなくローズに変わりますね。

でも45は68年に製造が再開されましたからハカランダはわずか2年です。


この2年間のD45 もびっくりするような価格ですね。。400万はくだらないでしょう。。状態の良いものだとそれ以上です。






さすがに、「戦前モデル」そして68、69年の「ハカランダモデル」は超希少なのでなかなか試せませんが、今回その少し先の1972年のD45を試す機会がありました。

「戦前モデル」や 「ハカランダ」まではいきませんがこれも本数が少なく市場での価値も非常に高いモデルです。






(クリックしていただくとより高解像度になります)

1972のD45は110本だそうです。そのうちの一本ですね。


45といえば縦ロゴですね。





70年代になるとかなり風格がありますね。。

生徒さんがお持ちの近年のもののHD28V と比べてみますと、やはり風格が漂います。

単に色焼けしているだけでなく、細かいところにある傷やくすみがなんとも独特の風格を出すものですね。。

まあなんともマニアックな世界です笑







さてこの年代のD45には「戦前」あるいは「ハカランダ」のように特別な特徴があります。

それは「ジャーマントップ」です。







マーチンといえば昔はアディロン 今はシトカがほとんどですが、この時期の45にはジャーマンスプルースを使っていました。74年までだったと思います。



さすが45のグレード材という感じですね。

余談ですが、45は材料がないと作らない年などもありましたね。いつでも手に入るわけではないというのが余計にプレミア感を出したと思います。








後ろのローズウッドのグレードも素晴らしいですね。

現行の45もそうですが、やはりマーチンの45というのは圧倒的な凄さがありますね。

28とスペック上の素材 サイズは同じですがでてくる音は全くと言っていいほど違います。

材のグレードと何か45の製造レシピがあると思います。。


調整に差があると28の方が元気がある感じがするかも知れません。

どうしても鳴り(音量)だけを重視すると28の方が良いのではと思われる方もおられるかも知れません。。


でもバッチリ調整された45の深いレンジとコードのとろけ方などは素晴らしいですね。

おそらくどこでどんなギターと対決しても負けることはないと思います。






ジャーマンスプルースは倍音がさらに深く感じます。

明らかにシトカよりも深い倍音が出ます。特にドレッドだと高音側の艶っぽさがいいですね。シトカだとプレーン弦が少し素朴すぎると感じる方もおられるかも知れません。

ジャーマンは力強さもあるのです。


スプルース最高峰というとアディロンという感じが強いですが、グレードの良いジャーマンもいいですね。ソモジさんも長年ヨーロピアン系のスプルースを使っておられます。


確かにマーチンのフォワードシフトスキャロップ のギターだとアディロンのパワーと圧倒的ななりには魅力がありますね。D45V という45でも戦前のコピーモデルのギターがありますが、その設計だとやはりアディロンの方が合う気がいたします。

ジャーマンを使ったマーチンのカスタムは時々出ています。特にノンスキャロップのギターにはとても良い相性だと思います。





ピックガードが張り替えられていますね。


この時期はマーチンクラックというピックガード付近から塗装が割れてくる現象が生じやすいです。大抵リペアが施されて、張り替えられていますね。


マーチンはいつの時代にもワンピースネックダブテイルです。

(ちなみにマーチンの最近の低価格モデルはテノンと呼ばれる特殊なボルトジョイントですね)







ボルトジョイントのパリとした音は試奏の段階ではインパクトがあるかも知れません。

でもネックアングルのしっかりとしたワンピースネックの音の深みと暖かさは素晴らしいですね。

弦の振動はナットからネックに伝わり、ネックジョイント部でボディーにも伝わっていきます。

ワンピースネック ダブテイルで特にグレードの良い材料を使うというのは一つの黄金レシピですね。

ホンマホのワンピースで本当にすごいものだと、ネックをタッピングするだけでものすごい共振がするギターもありますね。ネックも大切な楽器の一部です。

もちろんライブ仕様などでコンディションを保ちたい場合はテイラーやコリングスのようなネックの精度を優先するのも一つの考え方だと思います。




ローデンのように5ピースでネックは固く作って、ボディーを振動させるという方法もありますね。でもなり方が独特なので好みが分かれるかも知れません。


何れにしても、このビンテージの45は私が過去弾いた中でもとりわけインパクトのあるギターでした。


暗い照明の中とったイマイチな写真がありますが、せっかくなので載せておきますね。









暗い中でも MARTIN のロゴが輝いて見えますね笑


戦前、またハカランダと同様、70年代の45もいずれはどんどん希少になるのでしょう。。


ちなみに最初のWIKI の記事にあった戦前の45の中には所在がわからないものも何本かあります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/オリジナル_Martin_D-45_(_Pre_War_D-45_)_のリスト

世界の何処かに眠っているのでしょう。。

もし、ご自宅に謎のギターケースなどがあったら是非探してみてくださいませ笑

もし発見されたら是非レポートさせてください。




次回はマーチンのOMの記事を書く予定です。





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