というギターメーカをご存知でしょうか??
カナダを代表するアコースティックギターでジーンラリビーさんが1960年代後半に立ち上げたギターメーカです。。
マーチンやギブソンといったアメリカンギターとは全く別路線の新しい設計、グレードの高い木材の使用、美しい装飾でたちまち人気を獲得しました。
「ラリビーの音」といわれる独特のすばらしい音がするんですね。(記事の最後に試奏記があります)
有名どころだとミスチルの桜井さんも使っています。ラリビーのL10ですね。
最近ではアコギの神様 トミーエマニュエルも使っています。
ジャズ系では盲目の天才ギタリスト&シンガー ラウルミドンも長年愛用しています。(最近はトラゴットも使っていますね)
盲人のギタリストが音を判断して選んだのは興味深いですね。。
余談ですが、このラウルミドンとリチャードボナのライブはすごいですね。
39:25あたりからの曲なかなかすごいです。使っているのはラリビーのC−09ですね。
(余談の余談ですが、ラウルミドンも好きですが、ベースのリチャードボナはもっともっと好きなミュージシャンの一人です。(私のギターの師匠は飼い猫に「ボナ」とつけたほどです)
まだご存じない方はYouTube等でいろいろ見ていただきたいです。
史上最高のベーシストの一人といわれたりします。天下のパットメセニーグループにもいた時期がありました。
このブログ本当によく話しがそれます。。もっとリチャードボナについて語りたいですがラリビーにはなしを戻しましょう。)
ラリビーはソロギター系の人もよく使っています。中川イサトさんもラリビーのOMを使っていましたし、初期の1970年代のアルバムのジャケットでもラリビーを抱えておられれます。
新岡ギター教室の新岡さんは今までに無数の良いギターを弾いてこられましたが、最新のアルバムでメインギターとして使われたのは ラリビーのL10でした。
このアルバムですね。
このアルバムは、録音もすばらしいのでラリビーの音がとても良く分かります。
ぜひ聞いていただきたいですね。
私も以前弾かせていただきましたが、チューニングの段階から感動するぐらいすごいギターでした。。
(新岡さん宅 訪問記はこちらをクリック)
さて今回は、
ラリビーの魅力を3つに分けてご紹介したいと思います。
1 音色 2 材 3 インレイ です。
1 音色
ラリビーの魅力は何と言っても音色です。
冒頭にも少し書きましたが、他のどんな高級ギターにも出せないラリビー独特の音というのがあります。
それにはラリビーさんの設計が関係していますが とくに大きいのはブレーシング(力木)です。
ラリビーさんの最大の発明は
左右対称 ノンスキャロップブレーシング といわれています。
ブレーシング(板についてる割り箸みたいなのです)見えるでしょうか??
サウンドホールを中心に左右を見比べると 鏡で映したように左右対称なのが分かります。
それに ブレーシングが削られていない(=ノンスキャロップ)なのが分かるでしょうか??
こちらは マーチンなどで見られるブレーシングです。
左右比対称で しかもかなり削られていますよね。
これはあくまでも一般論ですが、ブレーシングはスキャロップ(削った)方が 鳴りが良いといわれています。
何となく分かりますよね。ガチガチに補強するより、最低限の補強にしたほうが より振動が木材を伝わりやすいのです。
ノンスキャロップで有名なのはヤマハのギターです。日本製で 丈夫さ 壊れにくさが売りですが、新品時のなりは少しいまいちな気がします。。ヤマハは5年は弾き込まないと、、とよく聞きます。
ラリビーはというと、これが不思議と、しっかりとした音量音圧でなるんですね。
独自のブレーシングパターンをふくめて設計が良いのでしょう。
ラリビーの動画はいっぱいありますが、これはかなり音質がよいです。
比較的近年物の ラリビーL10 です。イヤホンかヘッドホンで 少し大きめの音量で聞いてみていただけますか??
このラリビー独特のすばらしい音が分かるでしょうか。
ラリビーの音に関してよくいわれるのは
「分離が良い」
「バランスが良い」
「適度にイコライズされてる」
「線が太い」
などの表現です。
いろんな雑誌や ギターショップの説明でもよく目にします。
複雑な和音を弾いても、一本一本の弦の音が混ざりすぎずにしっかりと聞こえるのです。(分離が良い)
くわえてよく聞いてみると低音が出過ぎたり高音が引っ込みすぎたりという事が比較的ありません。
(バランスが良い)
イコライザーがかけてあるように バランスよくすべての音が しっかりとした音量でなるんですね。
(適度にイコライズされている)
ノンスキャロップで 一本一本に芯があります。高音はガラスの音なんていわれたりする美しい音です。
(線が太い)
フィンガーピッカーに人気なのも分かりますね。
近年物でもこの音ですが、、
ましてや、ラリビーのビンテージになると、、
さっきと同じ人が ほぼ同じ録音環境で弾いている動画です。
(さっきの動画と同じ音量設定で聞いてみると、より違いが分かると思います)
1975年ですので、、40年前のビンテージラリビーです。
音量と音圧がさらに増しています、、。とくに6弦ははっきりと分かるくらい太いですね。
いわゆるビンテージの音抜けというやつです。
芯が太いままで、残響(リバーブ)もよりまとわりつきます。。お風呂で弾いてるような軽くエコーがかかった感じが分かるでしょうか。。
ビンテージラリビーは一つのアコギの理想型なのかも知れません。
新岡さんのラリビーも1970年代でした。
(追伸
先日 中川イサトさんの一番弟子に当たる塩見元彦さんという方がスタジオに遊びにきてくださいました。
実はその塩見さんなんと日本に初めてラリビーを輸入された方なのです。
日本で最初に代理店をされていたようです。
1970年台後半のことではないかと思います。
塩見さんが輸入した初期のロットのうちの一本を中川イサトさんが使っておられたのです。
塩見さんにちょうどお借りしていた新岡さんのラリビー弾いていただいたところ、「多分僕が検品したやつですよ。今まで弾いたラリビーの中で一番良い音かも」 といってくださいました。
実際にラリビーさんのお宅にホームステイされたお話も聞きてとても勉強になりました。)
1970年代、ラリビーギターは10人程度で制作していました。
しかもその中には、
「グリッドラスキン」「リンダマンザー」など 今では独立して200万以上するギターを作り出す、カリスマ的な制作家達がいました。。
70年代のラリビーは 漫画界でいう「トキワ荘」みたいなものでしょうか。。
サウンドメッセで、リンダマンザーのパットメセニーモデルを弾く私です。
なんと、、
378万です。。 でもこれも基本的にはラリビーの設計を少しアレンジしたものです。
サウンドメッセの記事でも書きましたが(こちらをクリック) この日弾いたギターの中で最も感動したモデルでした。
ラリビーは調整が難しいギターではあります。
ノンスキャロップなのでボディーの変型はほとんどありませんが、ネックの状態やナットとサドルをしっかり調整しないと、本来の音は出ません。
残念ながら 「高級なラリビーを買ったのに鳴らない」 とか、「ラリビーはテンションがきつすぎる」と嘆いておられる方のブログを見た事があります。
「弾き込めば良くなる!あと数年我慢。。」などと思いがちですが、プロの調整で先ほどの動画のようなすばらしい音になります。テンションが比較的きついのは事実ですが、調整すれば、ちょっときついかな、?くらいですよ。
ちなみに 新岡さんのラリビーもかなり調整に苦労されたようです。。
ビンテージラリビーはロッドがはいっていません。
それでネックアイロンで 数ヶ月かけて、調整されたとの事でした。。
しっかり調整されたラリビーの音色は良いですよ。
私も、手工ギターやマーチンやテイラーなどの上位機種も大好きです。
でもやはりラリビー独特の音には魅力があり、ラリビーに戻って来ます。
王道とは別の独自の道を極めた音という感じですね。(似た系統でローデンの音も素晴らしいですね)
低価格帯でも しっかり調整すれば なかなかな音が出ますよ。
これもさっきと同じ条件の動画です。弾いているのはL−02 という廉価モデルです。
ソロギター一本目には十分すぎる音です。これもやはり調整が大切ですが。。
いままでの動画はデモっぽい演奏でしたが、プロが弾くとどうでしょうか?
Calum Graham という人です。弾いているのはラリビーのジャンボです。
もっと録音が良くてよいのはこちらです。
芯があるすばらしい音ですね。。弾いているのはOM-02 というかなり安いモデルですが、いいおとです。
天下のトミーエマニュエルのマイク取りの音も有ります。
LS ボディーのカッタウェイ 12フレットジョイントですね。
まさにラリビーの音です。
次の魅力に行きましょう。
2 材
ラリビーの魅力の別の面は 木材です。。
といっても、、
ラリビーのカタログやサイトを見ると分かりますが、
基本的には トップはシトカスプルース、 サイドバックは マホガニーかローズウッドです。
一般的にどこのメーカでも使われる、ごくごく普通の材料ですよね。。
たまに リミテッドで アディロンや マダガスカルのモデルもありますが、ごくごくわずかです。
ただ なぜそんな普通の材料でもラリビーの木材に魅力があるかというと、
ラリビー社は ギター制作家だけでなく 「ウッドサプライヤー」もしているからなんです。
実際、創業者のラリビーさんはウッドサプライヤーとして世界的に有名みたいです。。
簡単にいえば 木材卸ですね。
良い木材を求めて世界を飛び回っているようです。
これはラリビーのインスタからの転用ですが、シトカスプルースの原木です。
なんという大きさでしょう!!
この直径からして、何年物の木なんでしょうか。。
この直径で生えている姿を創造してみてください。
日本だったら、祭られそう木ですね。。神木(しんぼく)といった感じです。。
あまりに大きい場合は その場でカットするようです。ジャングルに重機ははいれません。
世界各地を飛び回って、良い木を探しているようです。
このように木材卸としても世界的に有名なラリビーさんは他のギターメーカーにもおろしているそうです。。
ただ、やはり自分たちもギターを作りますから、おろした木材の中でも一番良い木を自分たちの為にとっておくのが普通ですよね。。
それで、ラリビーのギターは低価格帯もふくめて 木材のグレードがかなり高いです。
ましてトップモデルの10シリーズになると、自分のブランドの最上位モデル、自分たちを代表するモデルですから、
同じシトカスプルースとインドローズでもかなり良いのものを使っています。。
実際に見てみるとかなり目の詰まったとても良い材料です。。
他のメーカーの単なるシトカスプルースとインドローズとは少しわけが違いますね。。
さらにさらに
カスタムショップの作るモデルでは、音質だけでなく見た目にこだわったすごい木目のギターも作られます。。
どちらも普通のインドローズのようです。
どんな高級ギターでもこんな木目見た事ない!!というくらいすごい木目のギターですね。ウッドサプライヤーならではです。。
サウンドメッセでもレアな木目のギターが勢揃いでした。。
何本かは 市場にも出回っています。
わたしも東京のホーボーズさんで試奏した事がありますが、すごい音&材料でした。
こちらはドルフィンギターズに入荷しているモデルです。
ふつうのインディアンローズですが グレードがすごいです。
すごいお値段です。。
(こちらを参照)
音もよいですね。伍々くんのデモ演奏です。
いいおとですね。
このモデルはカスタムショップですが、レギュラーラインでも、やはり使っている木材のグレードはかなり良いです。
その割には、安いと思います。いわゆる 卸価格ですね。
魚を卸している人がやっている寿司屋が安くておいしい。。のギター版が ラリビーでしょうか。。
良い設計と良い材料の融合です。。 いい音がするわけですね。
最後の点は 音とは関係ないですが、これもラリビーの大きな売りです。。
3 インレイ
ラリビーの高級機種にはインレイがはいります。
さっきのサウンドメッセのモデルもヘッドにインレイがはいっていますね。
これらはすべて手作業ではいります。作業しているのはこの方
ウェンディー ラリビーさんです。
ラリビーさんの奥様ですね。インレイ作家としても有名です。
(ウォーターロードの増田さんも奥様がいれるインレイが有名ですね)
インレイの有る無しは好みが分かれます。正直私はシンプルなほうが好きですが、でも芸術作品としてすごいと思います。
一生もののギターには、見ても楽しめるものとして あり かもしれません。
ちなみに私はラリビーのインレイの中だったら、フライングイーグルが好きです。
空飛ぶ鷲です。いいですね。
さて 魅力を語っていたら長くなりましたが、私も最近程度の良いラリビーを試す機会がありましたので 1本ご紹介しましょう。
LARRIVEE L-10 です。レギュラーラインでは最高峰のモデルです。
90年代の中期のモデルなので 20年物です。
ビンテージまでは行きませんが、新品よりは明らかに音が抜けています。
トップはシトカスプルース サイドバックはインディアンローズですが、やはりグレードは高いです。
ヘッドには 奥様がいれたインレイがはいります。
これくらいシンプルなほうが良いですね。しかしこれを手作業でいれるのは大変でしょう。。
個人的にラリビーのマイナスポイントが1つあります。それはペグです。。
上の写真を見ると分かりますが、高級モデルでもシルバーのままです。。
ようやくごく最近のモデルはエボニーボタンになりましたが、市場に出回っている中古のラリビーはほとんどシルバーです。
もちろん悪くはないのですが、、。少しだけ安っぽい気も。。
ペグのメーカーはシャーラーです。フォルヒもシャーラーですね。シャーラーも精度は比較的悪くありません。シャーラーのエボニーボタンはかっこいいですよね。
フォルヒのエリートにはシャーラーのエボニーがつきます。
こちらはノーマルのべっ甲。。
やはり、エボニーボタンのほうが、だいぶ高級感が増しますね。。
シャラーも悪くはありませんが、やはり ペグの最高峰はGOTOH の510シリーズです。
多くの高級ギターについていますね。
あのスムーズさは、シャーラーより上です。というわけで、、
ペグを外して、、
どーんと、ゴトーのエボニーにかえました。
型番は
GOTOH SGL510 HAP EN01 です。
SG510シリーズ EN01 がエボニーボタンです。
ゴトーがついているだけで、高級ギター 良いギターな気がするのは私だけでしょうか。
でもやはりチューニングの精度やスムーズさが違います。
このギター生徒さんにも何人か 弾いてもらいましたが、かなり感動しておられました。
高級ギターを何本もっている方も 「これは!!」とびっくりしておられましたよ。
調整のかいもありますが、やはりラリビーはすごいギターです。
音量と音圧あるのにバランスがよく、独特の線の太さがあります。
分離がよく とくに複雑なコードや変則チューニングのときにすごく気持ち良いです。。
マーチンの設計もすごいですが、全く別の切り口のある種、理想的なギターですね。。
音量と音圧あるのにバランスがよく、独特の線の太さがあります。
分離がよく とくに複雑なコードや変則チューニングのときにすごく気持ち良いです。。
マーチンの設計もすごいですが、全く別の切り口のある種、理想的なギターですね。。
中古市場にはコンディションの悪いのもあるので注意が必要ですが、しっかり調整されたラリビーは試してみる価値があると思いますよ。。
ぜひ試奏してみてくださいね。
(現在 在庫しているギターは こちらから)
(このページに対するご感想やアコースティックギターそのものやアコギ音楽等についてのご質問、ご相談等有れば こちらまで
忙しいと返信に時間がかかってしまいますが、誠実なご質問にたいしては私に分かる範囲の事であれば喜んでお答えいたします。
また、愛知県尾張地域周辺の方で ギターレッスンにご興味が有る方のレッスンも随時受け付けております。
私個人のレッスンは こちらのページ
江南市のスタジオエムでのレッスンは こちらのページ
をご参照ください。)
ぜひ試奏してみてくださいね。
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