2016年5月31日火曜日

・「良いアコギのはなし」その15〜PRS Acoustic アコースティック プライベートストック(試奏記あります)

ギターをはじめた頃から、まだ弾いた事の無いメーカーやルシアーのギターを試奏するのが大好きです。


どんな音がするんだろうと、ほんとうにわくわくします。演奏のレベルに関わらずギター好きあるあるですね。


でも、学生の頃などはそんなに多くのギターを試奏しにいけるわけではありませんでした。



それで、アコースティックギターマガジンなどの雑誌を見ながら、様々な高そうなギターの写真や説明を読んで どんな音がするんだろうとわくわくしたものです。。





大人になって 自分でいろんな楽器屋さんに行けるようになりました。
はたまた講師になってギター関係のいろんな知り合いができて、本当にあらゆるギターを弾く機会に恵まれました。



自分の楽器店に入るギターをはじめ、ギター友人や生徒さんのギター、はたまたお世話になっている様々な楽器店にあるギター、更に足を伸ばしてサウンドメッセのような展示会などでほんとうにいろんなギターを弾きました。

新岡さんに良いギターをたくさん弾かせていただいたのも 大変勉強になりましたね。。



いろんな新しいギターを弾くのはやはり楽しいです。。



でも、、

すごいギターを弾きすぎると 最初の頃に比べて、だんだん感動が薄れていくのも事実です。。


かっこ良く言うと 耳が肥えてしまうのですね。。(生意気言って恐縮です。。)


ソモジ や グレーベン といった超一流の手工ギターをはじめ 各メーカの最上級シリーズの音などに一旦ふれてしまうと、新しく弾いた事の無いギターを試奏した時に、昔ほどの感動が無いのですね。

もちろん 良い音には変わりないのですが、更に上を知ってしまうと、感動!とまではなかなか行きません。



比べる対象が増えると レベルが上がってしまうのでしょうか。。



さて前置きが長くなりましたが、、


そんな中で、久しぶりに  これは!!!  と感動したすごいギターを紹介いたしましょう。


PRS  ( Paul Reed Smith ) のアコースティックギターです。







PRS は もともと エレキギターがメインのブランドでした。

ご存知の方も多いかもしれません。


1985年 に誕生という比較的新しいブランドですが、その製作技術の高さと音色でいまでは エレキ界でフェンダーとギブソン につぐ 第三のブランドとしての地位を確立しています。 


PRS は ポールリードスミスの略です。創業者の名前ですね。




ポールリードスミスさんです。

海外のギターメーカーは創業者の名前がついている事がほとんどですね。

マーチン テイラー コリングス ラリビー ブリードラブ 等々。。
フォルヒもフォルヒさんが創業者です。



ポールリードスミスは

サンタナが使った事で有名になりましたね。



もちろんエレキです。






さて。。



そのPRS が  開発に4年をかけて 2009年に新たにアコースティックギターを発表しました。



手工ギターのようなたたずまいですね。


この記事の最後では、このギターの実際の試奏記をお届けいたしますが、まず市場に出回っている他いくつかのギターも見てみましょう。。









やはり、超高級手工ギターのようなたたずまいですね。見ただけでかなり高級感があります。




PRS の アメリカ本国で作られている アコースティックギターはすべて 「プライベートストック」という生産ラインのものです。

この「プライベートストック」というのは 他のメーカにおけるカスタムショップのようなモノで、ごく少数のルシアー集団によって作られています。

テイラーにおけるR.TAYLOR のようなモノですね。



しかも材料もグレードの高い超高級材しか使いません。

まさに 「プライベートストック」です。



上の写真はアディロントップ、ハカランダバックです。杢目もすごいですよね。。


他にも幾つか見てみますと、、


このギターはココボロがメインで使われています。

ヘッドも指板も きれいな赤みのあるココボロです。






バックはというと。。










これはすごいです。。



こちらのギターは
ブラウン系のデザインですね。


ハカランダのモデルです。。




今では神格化されている 柾目のハカランダ、、





こちらは 少しオリエンタルなデザインですね。




バックは すごいトラ目のメイプル、、



凄まじいグレードの材料ばかりです。

トップの材料のクオリティーもすごいですよ。。

LARRIVEE のカスタムラインとも良い勝負ができそうなすごい材料です。。




値段も高級です。


デジマートなどで 「PRS アコースティック」などと検索してみると、、



ある日のページを切り取った物ですが、、値段がすごいですね。。

それでも幾つかはソールドアウトになっています。。





一応メーカー製 ですが、ここまでくると 実際には手工ギターの域です。

あえて中途半端な低&中価格帯を作らず、最高級ライン一本で勝負というわけです。。

(ちなみにPRS には SE という 韓国でのOEM 生産のモデルがあります。

デザインはPRSで、それなりの音は出ますが、やはりプライベートストックは音はやはり別次元です。。 何次元も違います。。

他のブランドと考えたほうが良いくらいかもしれません。。)




実際の音ですが、冒頭で述べたとおり すごい音がします。

いろんな高級ギターを弾いたあとでも 感動する音です。


PRSはとにかく線が太いです。音圧がすごく箱なりも腹にくるほどあるのですが、レスポンスもあります。

残響(リバーブ)もとても気持ちいいです。



それでも他のメーカーには無い独特の音色がします。

ブレイシングもオリジナルだそうです。





まだ 誕生から10年もたっていないギターですが、すでにプロのギタリストも良さに気づいています。

フィンガー系だと タッピング系で有名な ジャスティンキング




重鎮 マーチンシンプソン




はたまた ケルティック系 の トニーマクメナス





などが使用しています。




余談ですが、、

トニーマクメナスの右手のタッチはほんとうにすごいですね。

多くのフィンガーピッカーが彼の右手に感動した、、とインタビューで書いています。


特に有名なのはこのアルバムですね。。




隠れた名盤です。ベンスーザンに迫るすばらしいタッチです。。


実際の音をいくつかの動画で確かめてみましょう。




トニーマクメナスがPRSを弾く動画でおすすめはこれです。(イヤホンかヘッドホンで大きめの音量で聞いてみてください。)





この線の太さと音圧すごいですね。。


PRS の音を知るのにもーっとおすすめなのはこちらのマーチンシンプソンの動画です。


長いですが、4:50あたりからPRS を弾きます。

興味深いのは その直前まで マーチンのスモールボディーのギターを同じ録音条件で弾いています。


マーチンの音ももちろん良いですが、比較対象ができて よりPRS のギターの音色が分かりますよ。。





線の太さ重厚さが分かりましたでしょうか。。


マーチンのいわゆるオーソドックスな 軽い鳴りも良いですが、PRS の音圧 線の分厚さもすごいですよね。。



さて、私も最近PRS を試す機会がありました。

冒頭に少しでてきたギターです。


ケースからしておしゃれですね。






R.TAYLOR もこんなケースでした。


今回試したのは、PRS Angelus Cutaway というモデルです。







すでに良い音がしそうな オーラがありますね。

材料に注目しましょう。

写真でトップの材質が分かるでしょうか??





びっしりとベアクロウが入っています。


トップは アディロンダックスプルースです。

ベアクロウ入りのアディロンは レア中のレアですね。。。



アディロンにしては杢目もかなり詰まっています。


まさにプライベートストックの「すばらしい」を通り越して「凄まじい」材料です。


サイドバックはなんでしょうか??


まずサイドです。


左サイド



右サイド、、



赤みのかかった材料です。ココボロですね。


白と赤のコントラストがすばらしいですね。。


バインディング(縁取り)もココボロです。



バックもココボロです。


その杢目は、、






























おおお!


すごい板目です。。



ココボロはこのようなワイルドな杢目がでる材料ですが、ここまでの木目はかなり珍しいですね。。



これまた プライベートストックというだけある すごい材料です。。



デザインも全体で統一されています。


三木楽器さんの説明では「ココボロの申し子」と表現されていましたが、まさにそんな感じです。


ヘッドの化粧板もココボロ、指板もココボロです。








指板にはPRS お得意の鳥のインレイが入ります。。

これまた 高級感がありますね。。





見てるだけで うっとりするようなギターですね。。



実際の色合いはこちらの写真の方が近いと思います。






ぱっと見アディロン って分からないくらいすばらしい目の詰まったアディロンです。。

(生徒さんにトップは何か当ててもらいましたが、見た目ではなかなか分からなかった方が多かったです。でも、生徒のS君は 音で当てました。耳が良くなってきた証拠ですね。)



バックのココボロです。

自然が作る芸術です。。





このコントラストが良いのです。。











オーラが違いますね。。





この Angelus Cutaway は定価70万のモデルです。


個人制作家の上位モデルも買える値段ですね。。


でもPRS のアコギの中では比較的安いほうです。。






実際の音ですが、、





簡単に言ってしまうと 本当に次元が違う 音圧 太さ  レスポンスです。。


重厚なサウンドがお好きな方には ある意味一つの最高峰かもしれません。


個人的には ソモジ にかなり近いイメージです。

でも 他のメーカとは違うPRS の音があります。
開発に5年をかけたのは だてじゃありませんね。


ココボロだと若干レスポンスがもたつくイメージだったのですが、このギターはそれも感じさせませんでした。。


実際の音の感じはこの動画が参考になります。





弾いているのは アルペタウェイですね。


イヤホンなどで 少し大きめの音量で聞いていただくと 音圧だけでなく 音の深みやナチュラルリバーブの感じが分かると思います。

右手を見ると そんなに強いピッキングをしているわけではないのですが、この音圧です。



私も弾きましたが、永遠と弾きたくなるくらいすばらしい音です。。


とくに アンディーマッキーなどの 今時のフィンガーピッキングをされる方にはもってこいのギターですね。




わたしが これまでに弾いたたくさんのギターの中でも かなり感動したモデルでした。



PRS は 三木楽器梅田さんがかなり力をいれておられますね。

新品もですが、中古もけっこう入っている気がします。

ぜひ試していただきたいですね。




ただおもしろいのが、、



ここまでのギターを弾くと これ以上のギターはもう要らないって思いがちですがそうでもないんです。


重厚なサウンドに魅力があるのも間違いないのですが、ビンテージの乾いた鳴りもまた魅力があります。

さきほどのマーチンシンプソンの動画にでてくるマーチンも軽くてすごく良い音ですよね。


材料もココボロやマダガスカル さらに ハカランダ は金額に見合う魅力があるのは事実ですが、一旦そこまで上り詰めると、マホガニーの軽さもいい音だなって思います。



昔 新岡ギター教室の新岡さんが 材料の好みがくるくる回ると言ったのを思い出しますね。。




トッププロの中にも ドンロスや ピエールベンスーザンなど マホガニーバックのモデルを長年愛用している人もいます。



いろんな材料はたまた いろんなメーカから 自分好みのギターがみつかるといいですね。。



(このページに対するご感想やアコースティックギターそのものやアコギ音楽等についてのご質問、ご相談等有れば こちらまで 

忙しいと返信に時間がかかってしまいますが、誠実なご質問にたいしては私に分かる範囲の事であれば喜んでお答えいたします。


また、愛知県尾張地域周辺の方で ギターレッスンにご興味が有る方のレッスンも随時受け付けております。

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