2016年7月13日水曜日

・「良いギター音楽のはなし」その2〜ラグタイム スコットジョップリンをギターで。。

良いギター音楽のはなし 第2弾では ラグタイムというジャンルをご紹介します。




新しい音楽に出会う事は、すばらしい体験ですよね。



いままでラグタイムを知らなかった方も ぜひこの機会にふれていただきたいと思っています。



おすすめの アコギアレンジのラグタイムもご紹介していきますよ。



さて、、



ラグタイムを解説する前に 世界一有名なラグタイムの名曲をお聴きいただきましょう。


ピアノです。







エンタテイナー と言う曲です。 1902年の曲です。





誰もが知ってるこの曲です。

サッカー日本代表の試合でも サポーターが 「おおおおっおおっおおー」
ってスタンドで大合唱していますね。

テレビの代表戦などでよく聞くやつです。





元はラグタイムだったんですね。






ラグタイムとは1897ごろから1900年代前半にかけて アメリカを中心に大流行した音楽です。



黒人を中心に ピアノ音楽として栄えました。


ブルースやジャズのもとになった音楽とも言われています。


独特のリズムのはね (シンコーペーション)があり、クラシックのリズムと違い「遅いリズム」と思われた事から 「ラグ タイム」(時間がずれた) 音楽 と言われるようになったそうです。

日本では てれこにした 「タイム ラグ」 という 言葉はよく使いますよね。。





厳密に言うとラグタイムは 様々なジャンル分けができますが、こんかい ラグタイムのおおもと  「クラシックラグ」と呼ばれる ジャンルをご紹介いたしましょう。



クラシックラグの王様 は この人です。





スコットジョップリン です。

スコット・ジョプリンScott Joplin1868年11月24日 - 1917年4月1日)はアメリカ合衆国アフリカ系アメリカ人作曲家ピアノ演奏家ラグタイムで有名な演奏家・作曲家であり、「ラグタイム王」(King of Ragtime)と呼ばれている。


サンダーバードみたいな顔ですね。




個人的には ジャンルは違えど この人は クラシックの偉大な作曲に勝るとも劣らない、時代を超えた天才作曲家だと思っています。


陽気で でも少し物悲しくもある 魅力的なメロディー 構成 コード進行、、天才としか言いようがありません。




(余談ですが、クラシックは「白人社会」で、しかも「貴族社会」で発達したものなので、クラシック全盛期の時代は、有色人種や下級階級にうまれた才能ある音楽家が日の目を見る事が無くほとんど埋もれていた時代だと思います。

そのなかで 黒人社会で生まれたラグタイム、あるいは 中世ヨーロッパでも一般階級で親しまれた アイリッシュやケルティックなどの民族音楽も 勝るとも劣らないすばらしいものですね。 現代まで残る名曲が数多くありますよね。。 

ラグタイムやアイリッシュの影響の強いポップスもたくさんあります。



ちなみに アイリッシュは次回の記事で 特集する予定です。)


スコットジョップリンで 現代で一番有名なのはさきほど エンタテイナーだとおもいます。

でも 当時の社会で一番有名なのはこの「メイプルリーフラグ」でした。












いい曲ですね。。1899年の曲です。エンタテイナーの3年前です。



一説によるとこのメイプルリーフラグは世界的な大ヒットとなり この楽譜は100万部売れたとされています。


楽譜が100万部。。しんじられないですね。 いまじゃ考えられません。





もちろん 100年前の黒人社会での出来事ですので、いくらか数字の正確さにかける可能性もありますが、いずれにしても社会現象となるくらいの大ヒットとなったのは間違いありません。


今で言うレディーガガ みたいな感じでしょうか笑




スコットジョップリンは名曲ぞろいです。天才なので。


日本だとこの 「パイナップルラグ」がゆうめいかも。







どこかで聞いた事ありますよね。。


そう 一昔前に SUZUKIの軽 ラパンのcm でつかわれていました。





これ以外にも すばらしい曲がたくさんあります。

iTunes には スコットジョップリンのベスト盤が幾つかあります。



おすすめはこれですね。





Ragtime Collection - スコット・ジョプリン

66曲入で なんと900円です。やっす笑 


いずれにしろ、すばらしい曲ぞろいなので 聞いてて 飽きません。

どこかで聞いた事がある っていう曲もあるかもです。


(余談ですが

ラグタイムは過去の作曲家の作品がおおいですが、自作のラグタイムを作る最近の作曲家もいます。

日本では 崎谷 健次郎 さんの RAG TIME ON The RAG が有名です。








いきなり黄金伝説で 料理を作るときのBGM ですね笑)



さて、、

このサイトは アコギ好きな方によくご覧いただいています。



このような すばらしい音楽、ギターでも弾きたいっておもいますよね。。





でも、もともと「ピアノ」でも 難しい曲を「ギター」に置き換えるのは大変難しいのです。。



これはラグタイムに限りませんが、ソロギターにアレンジするというのは引き算と音楽性を両立させる戦いです。。



たとえば ピアノの曲をギターにアレンジするとしましょう。

ピアノは 両手の指を使って 最大10の音を出せます。しかも、ペダルを踏めばもっと音を伸ばす事が可能です。


ギターはどんなに頑張っても弦が6つなので物理的に6つの音しか出せません。

しかも 押さえる弦は片手だけなので、押さえる音の距離も物理的な制限があります。

どんなギタリストでも6弦1フレットと1弦12フレットを同時に押さえる事はできませんよね。。ベンスーザンでも無理です。。



このように、、

物理的な制限がある中で、他の楽器の曲をアレンジするのは至難の業です。
しかも音楽的なアレンジをしたいのです。。





それで 才能あふれるギタリストは 曲のキーを考えたり、音を減らしたり、様々なテクニックや、アイディアを駆使して音楽的にすばらしいアレンジをしていきます。

(現代音楽系では 変則チューニングや タッピングもアイディアの一つですね)







ラグタイムはとても魅力的なので 難しいと分かっていてもギターで挑戦したくなりますよね。



じつは ソロギターの最初期のギタリスト達も同じ事を考え スコットジョップリンのラグタイムにギターで挑みました。


ラグタイム ギター のパイオニア、第一人者はこの人です。





DAVID LAIBMAN (ディビッド レイブマン)です。


むかしは デイブレイブマンと呼ばれている事が多かったですが、最近はデイビッドだそうです。



これは もしソロギターという国家試験があったら、絶対に出題されるくらい確実に押さえておかなければならない名前です笑



ソロギターの世界で初めて ラグタイムをギターアレンジしたと言われている方ですが、なんと1961 年 には かなり完成度の高いアレンジをして 他のギタリストをうならせていたようです。。


(詳しくは 打田さんのブログに興味深い記事があります。こちら



いまはだいぶお年を召されていますが、近年 上記の写真の教則DVD を出すなど、まだ演奏活動は続けておられるようです。






お年のせいでだいぶ全盛期の切れは落ちているように感じてしまいますが、、

でも、このアレンジをいまから5、60年まえにしていたとは驚きです。。




いまでもすごいと思いますが とうじはまだ ギターは 歌の伴奏 とされていた時代です。。



このデイヴレイブマン に刺激を受けて ステファングロスマン周辺の才能あるギタリストが1970年代に ラグタイムギターアレンジに明け暮れたようです。


切磋琢磨じゃないですが、競うようにアレンジしては披露し合ったのですね。



上記の デイヴのDVDもよいですが、ラグタイムギター系で、というかソロギターの楽譜集として お勧めすぎる すばらしい楽譜集があります!!


それがこれです。



ステファングロスマンのレーベルからでた スコットジョップリンのソロギターアレンジ楽譜集(CD付き)です。

様々なギタリストがスコットジョップリンのラグタイムをアレンジしています。






日本では 日本語に翻訳されたものが TAB ギタースクールからでていました。


この楽譜と演奏のCDがすごく良いのです。。



先ほど書いた1970年代の 切磋琢磨し合ったギタリスト達の結晶とでも言いましょうか。。


CDも楽譜も ソロギターのラグタイム盤として 大名盤だと思います。

正直これ以上のアレンジはでてこないかもって思えるくらいに。。



聞いてみると分かるのですが とにかく完成度が高い高い。。


ギター一本とは思えないほんとうにすばらしいアレンジです。



そして弾いてみると分かるのですが、むずかしいむずかしい。。

初めてこの楽譜を手にしたのは自分が小6のときです。


私は、小4にギターをはじめました。

小6くらいではそれなりにソロギターの難しい曲をコピーできるようになっていたので調子をこいていましたが、この楽譜があまりに難しくて 自分は才能が無いかもと落ち込んだものです笑




もし ソロギターで叩き系などは けっこう弾けるという方でも これは一回挑戦してみていただきたいです。



これを弾ききるのは ほんとうに 至難の業ですよ。。



1曲目に入っているダックベイカーのメイプルリーフラグでまず度肝を抜かれます。

2曲目のエンタテイナーはジムマクレナンというギタリストのアレンジですがこれもすばらしい。。(岡崎倫典さんのエンタテイナーのアレンジはこのジムのアレンジが元になっていると倫典さんが解説していました。)



他のギタリストもすごいのですが、とりわけ この中で異彩を放つのがこの人です。





Ton Van Bergeyk (トン ヴァン バーゲイク)です。オランダ人です。

ステファングロスマン系列では有名ですね。



この人がうまいなんてもんじゃないんです。。

伝説のギタリストですね。。

トンのアレンジだけでも この楽譜集は買う価値ありますよ。。


いまはヤフオクなどでしか手に入らないかもしれません。。






ちなみに トン の 名盤に フェイマスラグタイムギターソロズ というのがあります。










これも大名盤です。


パイナップルラグのアレンジもあります。



すばらしいアレンジですよね。。

これが、簡単そうで難しすぎるんです。。

ジャンルは違いますが、ある種ベンスーザン並に難しいかも笑





ソロギター界の重鎮 プー横丁の松岡さんのフェイスブックに最近こんな投稿がありました。








いかにすごいか この文章からも伝わりますよね。。

聞かずに死ねるかレベルの名盤です。。




ラグタイムではありませんが、彼の アイガットリズムのソロギターアレンジも過ごすすぎますよ。。






ちなみに グロスマン系列のCD には ほとんどTAB譜がついています。



このトンのアルバムもpdf の形で楽譜が全曲入っています。もちろんパイナップルラグもあります。



ちなみに昔は紙の形で入っていました。


この楽譜はソロギター創成期に ソロギターのレベルの発展にほんとうに大きな影響を及ぼしたと思います。


日本でも最初期のギタリスト達は グロスマンのCD と楽譜から学んだ人がかなりいます。




グロスマンの功績は大きいですね。。






日本ではラグタイム系では 打田十紀夫さんが 「ラグタイムギター」という教則本を出しておられます。


また 浜田隆史さん は日本のラグタイムギターのパイオニアですね。

「クライマックスラグ」という すばらしいCD & 楽譜集がでています。



 わたしも以前練習しました。 チューニングがすごすぎて、なかなか練習しきる事ができませんでしたが、演奏もアレンジもすばらしいです。。





ぜひ 皆さんもラグタイムに挑戦してみてくださいね。

一番おすすめは 最初にあげたグロスマンのオムニバス楽譜集です。。


これは ソロギターマニアの方は 必須品ですね。。


ぜひ探してみてください。。


(このページに対するご感想やアコースティックギターそのものやアコギ音楽等についてのご質問、ご相談等有れば こちらまで 

忙しいと返信に時間がかかってしまいますが、誠実なご質問にたいしては私に分かる範囲の事であれば喜んでお答えいたします。


また、愛知県尾張地域周辺の方で ギターレッスンにご興味が有る方のレッスンも随時受け付けております。

私個人のレッスンは こちらのページ

江南市のスタジオエムでのレッスンは  こちらのページ

をご参照ください。)


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