車なら TOYOTA
パソコンなら アップル などなど、、。
では、アコースティックギター業界ではどうでしょうか?
歴史と伝統技術という意味では、以前も書いたマーチンのすごさがあります。
でも、100年以上つづいたマーチン独裁体制を抜いて全米ナンバーワンになったギターブランドがあります。
革新的な技術と圧倒的な品質管理で知られているメーカーです。
そうです。テイラーギターです。
1973年に誕生したメーカーですが、徹底的な品質管理、オールハンドメイドとは一線を画す高度な工作機械を取り入れた生産、音を追求した設計、そして弾きやすさとメンテナンスのしやすさにもこだわった特許技術のネックなど、
まさに、「完璧なギター」をつくる世界ナンバーワン企業です。
アメリカではそれこそ大企業として一般の経済界でも広く知られています。
日本でも広く知られています。
有名楽器店でもテイラーがおいてないところはそうそうないですよね。
ギターはいくらか「手工品」「ハンドメイド品」の方がメーカー製より絶対的に良いと思われがちです。
もちろん、天才的な制作家もおられますね。
でも、超一流メーカーの数と経験の技術力は侮れません。
一人ではなく工場にいる何十人〜何百人ものひとの経験とノウハウがあがっていきます。
規模が大きいと、その分設備にかけれるお金持が違います。数という面では木材の仕入れも有利ですね。
テイラーの最高峰モデルは100〜200万くらいのものもありますが、そのクラスは、同じ価格帯の最高級手工家のギターと比べても遜色ないすばらしすぎる品質です。
そのような高級モデルに使われている、技術やノウハウを、低価格帯でも味わえるのがメーカー製のとても大きな魅力の一つです。
さてテイラーを創始したのはギター業界で有名なこの方です。
BOB TAYLOR ボブテイラーです。
まさに世界のアコギ業界の中心にいる人ですね。少し前に来日された時にはヤフーのトップニュースに記事が出ていたほどでした。
私個人、テイラーの音は昔から好きでした。まさにアメリカンギターの美しいハーモニーと透明感がありました。弾きやすいネックとメンテナンスのしやすさもすごいです。
すでにその音と設計で世界ナンバーワンになっていたのですが、個々数年で、テイラーのクオリティーが更に更にとんでもないことになってきました。。
というのも、それにはテイラーに加入したこの方の存在があります。
ボブテイラーの左側にいる方です。
この人は アンディーパワーズです。テイラーのマスタビルダーですね。
テイラーさんはすでに60歳を超えています。
それで、次の世代のテイラーを担う人として、数年前からテイラーの製作設計の全てまかされています。。
そのアンディパワーズが、入って数年して、テイラーのレギュラーラインナップがモデルチェンジしています。
アンディーパワーズが設計した新しいテイラーを弾いて思った事ですが、、
個人的にはこの人は超天才ルシアーの部類に入ると思いました。。
すごいギターを作ります。。
ある意味世界ナンバーワンのギター会社の社長 ボブテイラーが、自分のブランドの製作を全て任せた人ですから、当然と言えば当然かもしれませんが、それにしてもすごい設計です。
最高級モデルだけでなく、最新の800番台や600番台といったレギュラー価格帯でさえ、海外の手工家のギターに匹敵するほどのすばらしい音だと感じました。
ちなみに、
去年の来日の時に、新岡さんが東京で実際にお会いできたそうです。
アンディーの話しによると、彼はすでに十代の時から自分でギターを作り、すでにオーダーを抱えていたようです。
ギターを作っていたら、ハイスクールを欠席がちになり、卒業できるか微妙だったようですが、なんとそのハイスクールの校長がアンディーに製作を依頼しており、無事に卒業できたようです笑
その頃から経験を重ねてこられたんですね。
ギター製作に関して、最近思うのですが、、
ギターを作る人が、プレイヤーかどうかというのは良いギターを作る上でとても大きいような気がします。
たとえば、仮に私が手先が器用でバイオリンの制作家だったとします。
でも、自分ではバイオリンは全く弾けません。
自分が弾かないので、何が良い音か、何を目指して作れば良いか、プレイヤーとしてはどんな音が一番欲しいか、知識としては幾らか知っていても、自分ではいまいち分かりません。
もちろん、音が大きい小さいは分かるので、おとが大きい物は作れるでしょう。。
でももっと奥深い、細かい音色の部分などはプレイヤーの意見を聞くしかありません。。
手先が器用であれば、美しい楽器or 音の大きな楽器 は作れると思います。
もちろん、プレイヤーの意見を聞きながら、良い音色の楽器も目指して作れます。
でもやはり、制作者本人がプレイヤーでどんな音が欲しいか自分で分かっているのは圧倒的なメリットがあると思います。
アンディーパワーズは、プレイヤーとしても活動しており、演奏もなかなか上手です。
それで冒頭で述べた、超高級モデルはもちろんの事、アンディーが再設計したレギュラーラインのクオリティーもすごいです。
とくに、600番台 と800番台は、すごいですよ。。
もちろん検索していただくと分かるとおり、ふたつとも40〜50万クラスのギターです。
でも、そのクラスやそれより上のクラスのハンドメイドと比較したら、この音なら安いと言えるかもしれません。。
600番台を一本試す機会があったので、後で詳しくレポートするとして、まず800番台の話しをしましょう。。
私も弾きましたが、今までのテイラーのすばらしいハーモニー、美しい音に更に圧倒的な音圧が加わりました。
論より証拠で、800番台をアンディー自身が試奏している動画をお聞きくださいませ。
(イヤホンで大きめの音で聞くとすごさがより分かると思います。)
完全なマイク取りですがどうでしょうか??
この音色と音量はすごいですよね。。
812のような美しい高音が出るギターから、サイズが大きくなると野太い低音です。。
818とかは大迫力です。。
それぞれのサイズごとの音が、よく分かりますね。
それに、音量だけでなくハーモニーが美しいギターだと、このように音が折り重なっていくと、まさに合唱のように和音がとけ込んでいきますね。。
やはり、制作者本人がプレイヤーというのは大きいと思います。。
材料はシトカスプルースとインディアンローズですが、天才的な設計と世界最高峰の設備の工場で作られる事によって、この音になります。
あるいみ、同じくらい天才的なルシアーでも、自分で何本も試作するのは時間も費用も大変ですが、
世界最大の設備をつかって、自分の理想としたギターを作れるのはすごい事ですよね。
アンディーパワーズ以降、デザインもより木を基調としたものになり、ますますルシアーものみたいになりましたね。
木のピックガードや、メイプルのバインディングが良いですね。
テイラーのデザインは元々好きでしたが、さらに良くなりました。
美しいです。。
ちなみに814でも低音は十分です。DADGADでの、フィンガーピッキングですが、。
この6弦はすごいですね。右手は軽いタッチですが、膨らみます。。
ゲンコウを下げてもこの音が出ます。めちゃめちゃ弾きやすいのにです。
マルチなギターですね。圧倒的な音圧とハーモニーです。。
しかもメンテナンスも簡単なのです。
サウンドメッセでも再びテストいたしました。
指板のストライプエボニー
先ほどの動画にあるデラックスモデルにはコンターがつきます。
どのサイズも良いですが、私は812が一番好きですね。。
さて、
800番台は王道ですが、個人的にはもっともっと感動したのは600番台です。
メイプルのギターです。これも、木を基調としたおしゃれなギターですね。
実は今お預かりしているギターが手元にあり、何度も弾いているんですが、、。
これはちょっと革新的というか、、。すごすぎると言うか。。
良い意味でこんな音のギターきいたこと事無いって感じです。。
詳しい解説はここで全部書ききれませんので、もしよければお時間ある時にこれの中程にある600番台の特集の記事を読んでいただけるでしょうか。。
15分くらいでお読みいただけると思います。
http://www.taylorguitars.jp/pdf/TG_WS2015Japan_Complete.pdf
(ちなみに ↑これはテイラーが毎年発行している ウッド&スチールというフリーペーパです。
テイラーを持っていない人でも、アコギに関する情報が満載でとても良い読み物ですね。
もちろん宣伝の意味もあると思いますが、誇張している感じは無く、とても興味深いです)
この記事にもありますが、確かにメイプルはアコギ業界では幾らか見過ごされてきたように思います。
もちろん、メイプルのギターはありますね。
でもたしかにローズやマホのギターとほぼ同じ設計のまま、作られていた事が多いと思います。
そうやって作ると、、
たしかにレスポンスがあがってとても良いギターですが、メイプルを最大限に生かせているかという点では疑問だったかもしれませんね。
各社、ローズやマホはよくうれるし 定番なので、つねに設計に気を使いますよね。
ではメイプルでどこまで、設計を極めたブランドがあるかというと疑問が残ります。。
(実際記事にもありますが、ボブテイラー自身が、以前のテイラーのメイプルのギターをローズなどと同じ設計で作っていたのは間違いだったと認めていますね。。)
でも、確かにメイプルは古くから バイオリン チェロなどの弦楽器、あるいはエレキギターの世界ではメインの材料としてずっと使われています。
弦楽器界では、かなり王道なすぐれた木材です。
バイオリンなどはギターよりずっと小さいですが、あんなに大迫力な音が出ますよね。。
もちろん、楽器としての違いはありますが、木材としての可能性という意味では、メイプルに秘めたものはすごいですね。。
そんな中、アンディパワーズが、再設計したのが2015年以降の新生600シリーズです。
まさにメイプルの価値を最大限に引き出したすばらしいギターだと思いました。
ちなみに今回は新品同様の614CEを試す機会がありました。
14はGAサイズで 未だに圧倒的な人気を誇りますね。
詳細を写真で見てみましょう!
いつも思う事ですがテイラーのケースは立派ですね。
ケースをあけると、すでにただならぬ雰囲気です。
何とも美しいギターです。。
塗装も工作精度も完璧に近いです。
工業製品として完璧なだけでなく、楽器としてもすばらしいです。
新品同様品ですが、トップがほんの少し色や消した感じが分かるでしょうか??
これは最新のテイラーのトレファクションという加工がしています。
新品のギターが何年化して木が成熟し、鳴りがましていくのは有名な話しですが、それを人工的に再現しています。
特殊な熱処理をしているのです。
いわゆる最新の「エイジドスプルース」といった感じです。
マーチンのすごい技術にトップにVTS加工がありますが、それのテイラーバージョンですね。
新品の状態から音抜けがすごいです。。
同じシトカスプルースでも手間がすごくかかっています。
写真でも伝わると思いますが、塗装がテイラーは特にきれいです。
最新の技術で3.5mmという超薄い塗装です。
ウォーターロードやソモジも塗装がきわめて薄い事で知られています。
強度面を心配される方もいますが、テイラーは強度面と両立していますね。
全自動の塗装用の機械があるそうですが、なんと値段は6千万という噂もあります。。
この新しい600番台でもデザインがかなりウッディーになりました。
ピックガードはストライプエボニーです。
美しいですね。。
細かいところですが、サウンドホールにもエボニーの縁取りがつきます。。
レギュラーモデルですが、ヘッドの裏にも化粧板がつきます。エボニーですがこれは美しいです。
高級感が一気に増します。
バックを見てみましょう。メイプルの美しいトラ目です。。
白い筋は反射しているだけで、実際にはとてもきれいです。
本来は真っ白の木で、スプルースと白 白の同系色になってしまいますが、何とも美しい塗装で、白とブラウンの見事なコントラストです。。
よく見ていただくとバインディングもエボニーです。
しかもくびれのあたりからネックにかけて、黒から茶色に変わっているのが分かるでしょうか??
天然の木のコントラストがとても美しいです。
このコントラストは美しいですね。。
目に見えるところのこだわりもすごいですが、最新の設計では、接着剤の種類も部位によって細かく使い分けるほどのすごいこだわりです。。
この音は、本当にすごいです。
先ほどの記事に、ハカランダと間違えた人がいた とありましたが、大げさじゃないと思います。
メイプルのレスポンスと芯の太さがありつつ、太い低音や、美しいロングリバーブ、など
本来両立するはずの無い要素が混在している感じです。。
音圧と、美しいハーモニーが両立しています。。
ギターにはいろんな音色や傾向があるので、好みがくるくる変わって、何度も買い替えて結局何が良いのか分からなくなってくる事があると思います。
ギターを探していろいろ試奏にいった時に、
たまたま、調整の具合で音量が大きかったギターを良いと思って、何十万もかけて、ある場合ローンを組んでまで買ってしまうかもしれません。。
音量はもちろん重要ですが、圧倒的な音色のクオリティーの本当に良いギターを一本持っておくと、それを基準にいろんなギターを判断できるようになります。
このテイラーは、そんなギターになりうるすばらしいギターだと思いました。
(もちろん、マーチンのVTSを搭載したギターなども、すごいです。
ダブテイルジョイントの音のすごさもありますね。
ものすごくシビアに聞くとやはりボルトジョイントはボルトの音で、金属的な音がします。
コリングスでさえ、高温に硬さを感じる耳の良い方もいますね。クラシックギターにはボルトというのはありませんでしたので、ダブテイルが普通なのですね。
やはりワンピースネックのダブテイルジョイントの音は正しいように思います。
でも、それっとは違ったアプローチで、メンテナンスの手軽さも維持しながら、個々まで革新的なギターを作れるテイラーはやはりすごいと思いました)
(お譲りする方が決まりました。ありがとうございました。
お譲りした方は、マーチンのオーセンティックやメリルのハカランダモデル、また高級ルシアーのはハカランダのギターなどもおもちの長野県のNさんです。
到着後 レビューをいただきましたのでご紹介いたします。
614ce いいですねえ。
いろんな評価を読んで、そこまでかと半信半疑でしたが
今回、決めてよかったです!
良い意味で私のTaylorの認識が変わりました。
今までは、爽やかで、コードストローク向きの弦鳴り感の強い軽やかな印象でしたが
(512ce 514ce などの経験で700 800 900 などは違ったのかもしれませんが)
今回の614ceは、各弦が全て太く、芯があり、なおかつメイプルならではの立ち上がりの早さ
輪郭のしっかりした音色に、ふくよかな倍音と、気持ちの良いサスティーンがありますね。
音量もたっぷりあり、特に低音がしっかり出て、ドレッドノート に迫る太いしっかりした音が出ます。
プレーン弦もハイフレットまでまさにメイプルシロップのような黄金色のとろりとした艶のある音色ですね。
Martinのビンテージ、またはそれを再現しようとするギターを弾いてきましたが
このギターは今までに弾いたことのない全く新鮮な新しいギターの音を作り出していますね。
フィンガーピッキング向きのサーゲデヤングのハカランダを2本所有していたことがありますが
そういったルシアー系の艶やかで響きの深い雰囲気があります。
生音はもちろん、ラインの音も自然で素晴らしい。
ただし、かなりしっかりとピッ キングしてならしてやらないとその良さは出てこないと思います。
ある程度テンションも強めですので、初心者の方には向かないギターですね。
それにしてもサイドバックの木目は美しいですね。
塗装がまた良くて、一層木目の魅力を引き立てています。
今回、同じエレアコとしてGPC-AURA GT と比べてみましたが、614は高級ギターの部類の音でMartinの完敗です。
丹羽さんもご存じの、OMC-18 LJ も出してきて引き比べましたが、614の方が音も大きく重厚感がありました。
たしかに、こいつはひと味違うギターですね。アンディー・パワー恐るべしです(笑)
ここ数日忙しく、まだ十分に引き込んでいないのですが、これから弾くのが楽しみでなりません。)
すばらしい耳をお持ちの方ですが、このギターの良さを感じていただきました。
もちろんここで書いた記事は宣伝目的ではありません。。
本当に感動して思った事を記事にしています。
それで、もし今は購入できなくても、お近くに在庫している店があったら是非試奏していただいて、ご自身で体感していただきたいですね。。
世界一のブランドが、天才ルシアーに設計させたギター。。
音量と音色が両立しているすばらしいギターだと感じました。GSも弾いてみたいですね。
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