2021年7月20日火曜日

・「良いアコギの話」その57〜フォルヒのこだわりのカスタムを2本をオーダーされた方が詳細レポートを送ってくださいました。

 今回は少し前より予告しておりましたフォルヒのオーダーギターの到着レポートです!


現在フォルヒのフルオーダーラインは「レインボーシリーズ」という名前になっています。

2019年のサウンドメッセに初めて展示されました。

今までより多彩なデザインでオーダーできるようになりました。



2019年のサウンドメッセに展示されたフォルヒレインボーの弾き比べの記事はこちらから


ブログ読者の方から定期的に、オーダー前のご相談をいただいています。自分で購入するものではないのに、ギターの仕様を考える時間は本当に楽しいですね!


そんな中、昨年とある神奈川県のブログ読者の方からオーダーのご相談をいただきました。

その仕様が材料も、デザインも妥協のない、、極上カスタムといえる素晴らしいものでした。

しかもそんな極上のカスタムフォルヒをなんと2本もオーダーされたのです。


コロナ渦の影響はフォルヒ社のあるチェコでも出ているようです。

それで今回は予想より納期がかかってしまいました。。


私も今か今かと待っておりましたが、先日、その2本が無事に日本に届きました!!







写真だけですでに普通のフォルヒじゃないのが伝わってきますね。。

こちらが写真の右側のギターです。




そしてこちらが左側のギターです。




すごい存在感ですね。。

どんなギターなのか、、詳細が気になります。。

しかもこのクラスのフォルヒを2本オーダーしたのはどうしてだろう、、と思われる方もいるかもしれません。

実は今回オーダーされた方から、ギター到着後かなり詳しいレビューを送っていただきました。

購入したギターの詳細レビューだけではなく、オーダーの流れや、購入に至った動機、さらに詳細の納期日数まで書かれています笑


ご感想のレビューなどはいつも本当に嬉しく、励みなります。いただいたものはよくアップさせていただきます。


今回のレビューも素晴らしく、私だけにしておくのも少しもったいない感じがしました。



それで今回は少し新しい企画です。


いつもは私の主観によるレビューばかりですが、今回オーダーされた方目線でのギター詳細レポートをお届けしたいと思います。



意外と気になるところですよね。


今回の企画にご協力いただきました、神奈川県のIさん本当にありがとうございます。


(ブログ読者の皆様ご存知の通り、私は誤字脱字も多く、文章もわかりそうでわからない意味不明なことがよくあります。読み直すと恥ずかしくなりますが、なかなか時間もなく修正もできていません。お許しください)




というわけで、下記の詳細レビューをお楽しみください!

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神奈川県 Iさんより

はじめに 

発注させていただいた2本のFurch Rainbowが手元に届いてしばらく経ちましたが、ようやく腰を据えてじっくり弾けましたので、レビューをお送りいたします。レポートチックになってしまったのは看過いただけると幸いです。
(まったく、私のようなアコギ歴の浅い素人の文章で、読者諸兄の方々のお目汚しにならないものか恐々としております)
 

 

スペックとプライス

※かなり色々装飾系のオプションを盛っているためこの価格になっています。

Furch Rainbow Gc-LB Bevel Duo

Top: Alpine Spruce
Side/Back: African Blackwood
Binding: Hawaiian Koa 
Price: 849,200円






Furch Rainbow Gc-EC Bevel Duo

Top: Engelmann Spruce
Side/Back: Cocobolo
Binding: Padauk 
Price: 767,800円 



 
  

オーダー方法

Furch JP公式サイトから、見積もり用Excelをダウンロードして、希望のスペックを埋めて、丹羽さんに送り、ご請求書をいただいたら振り込むだけです。

 

動機

「そもそも何故2本もFurchでオーダーしたのか」をまとめてみます。

 Furch Guitarsを選択した理由

  1. 硬質で美しい音
  2. 上品で美しいデザイン
  3. 演奏性の良さ
  4. 道具としての頑健さ
  5. コストパフォーマンスの良さ
    1. 具体的なメーカー名は避けますが、未だに半額程度かと
  6. メーカーへの信頼感
    1. 現行のレギュラーライン(Yellow)を試奏したところ、以前のモデルよりも改良が進んでいることが感じられた
  7. どうしてもAfrican Blackwoodを選択したかったこと(★重要)

2本オーダーした理由 

  1. 試奏もさることながら、LBの音は聴くことも出来ず、事前に比較が出来なかったため
    1. ECは、MorohaのUKさんが弾かれているため音源は豊富で、確実に良い音が手に入ることは分かっていた
    2. Adirondack + African Blackwoodの組み合わせの試奏動画は散見されたが、少し粘度の強い音のため、Alpineでアッサリさせたかったが見つからず
  2. Madagascar Rosewoodのように調達に苦慮している材もあり、Rainbowシリーズで提供されるグレードのものがいつまであるか不明なこと
  3. ショップオーダー品が入る見込みも無さそうだったので、自分でオーダーする以外の選択肢がなかったため
「重要」と付記しましたが、今回どうしても選択したかった材がAfrican Blackwoodでした。
ご存じの方も多いと思いますが、黒い宝石と呼ばれ、準絶滅危惧に分類されている非常に比重の高い木材です。ハカランダよりも音響特性が優れているという方もいらっしゃったり、天から降り注ぐ音などの感想を持つ方もいらっしゃるようです。
 
Engelmann Spruceを使った優しい音も好きだし、African Blackwoodの濃い音も好きだしなぁ、、と悩んでみたものの、とどのつまりどれだけ調べてもモノを弾いてみないと分からないので、もうでーーーいと頼んでしまおうと。結局最後のひと押しはそういう考えからオーダーに至りました。幸い値崩れるようなものでもありませんし。

 

納品までの日数

オーダー時の納期は6ヶ月との案内でしたが、天災に等しいコロナ禍の影響により両ギター共に約8ヶ月半ほど要しました。
正確には、Gc-LBは260日、Gc-ECは252日です。 どうにも待ち遠しかったので、農林水産省の調査資料を読むなどして無聊を慰めていました。とてもよくまとめられていて面白いです。

 

レビュー

共通する点について 

両個体ともに、宝石のように美しく、オブジェとしても目を愉しませてくれる芸術品です。
 
Bevel Duoはちと値が張りますが、選択して大正解のオプションでオススメできます。標準的な日本人体型の自分にもしっくりとはまりました。胴厚が違うためOMほどとはいきませんが、かなり余裕をもって抱えられるようになります。

写真*Gc-LB Bevel Duo



写真*Gc-EC Bevel Duo




 
また、Linear Positioning Marks(指板のバインディング上のマーク)はデザイン性だけでなく視認性もよく、つけておいて損はないオプションです。このオプションは上述の見積もりExcelにはないので、メールにて希望をお伝えしてつけていただきました。

写真*Linear Positioning Marks










 
他にも、Furch Guitars本国の公式サイト上、色々なオプションがありますので希望があれば、相談してみて損はないと思います。
 
なお、これは人によって善し悪しかと思いますが、(握りの問題ではなく)ネックを選べるようになると個人的には嬉しいです。 
ヘッドの突板などは選べるものの、Mahoganyの2Pはどのシリーズでも変わらないため、Rainbowであってもレギュラーラインと同じようなので、特別感のあるものが選択できればなと。

Furch Rainbow Gc-LB Bevel Duo












1弦から6弦まで、非常に密度が濃く艶のある音色を奏でてくれます。
6弦はピアノに似て腹まで響く圧があり、プレーン弦は本当に綺羅びやかに鳴り、和音を鳴らしてもすべての弦の出音が輪郭を損なわず、しっかりとした芯を感じさせてくれます。
これは、トップのAlpine Spruceのバランスの良さをサイドバックのAfrican Blackwoodが引き出してくれているのではないかと。前述の比重の重さ通り硬く、加工の難しい材と聞きますが、きっと職人の腕の良さによるものなのでしょうね。

写真*Alpine Spruce






写真*African Blackwood




 
ここまではおおよそ期待値通りと言えるのですが、想像を超えてきてくれたのは、G Bodyにも関わらずレスポンスが早いことでした。右手のタッチに即反応し、ポッボッと空気の塊がサウンドホールが飛び出して行くのです。これがなんとも小気味がよく、このギターの最も気に入った部分になりました。

Furch Rainbow Gc-EC Bevel Duo























柔らかく空間に溶けて拡がるような出音をしています。
上述のLBは、固形の音といった印象を持ちましたが、これは流体や気体の音という言葉がしっくりくるように感じられました。弾いていると音に包み込まれるような不思議な感覚があり、LBとはまったくキャラクターの違う仕上がりです(CocoboloもAfrican Blackwoodと同様に沈木で比重が重たいので不思議ですね)。

写真*Engelmann Spruce



写真*Cocobolo








 
とりわけ、右手のタッチがこれまでにないほど繊細に伝わり、優しい音や鋭い音、走る音、跳ねる音などなど、表現力の豊かな楽器とはこういうものなのかと、この個体から教えられました。これは弾いてみないと実感できませんでしたね。おかげで徐々に自分のへっぽこ雑タッチも矯正されていっています。
 

最後に

これら2本のカスタムオーダーは非常に満足のいくものであったことを明記いたします。
この価格でこれだけのギターを提供してくれるメーカーはなかなかないかと!カスタムオーダーは初めての経験でしたが、あれやこれやと頭を悩ませるのも、まだかまだか待つのもとても楽しいものでした。
 
世界的に病魔の渦中にあり、先の見えない不安に苛まれつつも素晴らしいギターを作り上げてくれたFurch Guitars、発注から納品までとても丁寧にご対応くださったスタジオエム様と丹羽さんと楽器店の方々には重ねてお礼申し上げます。
 
本当にありがとうございました。





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Iさん詳細レポートありがとうございました!
ご満足いただけて何よりですね。

私はギター講師ですので販売はメインではなくて、たまに紹介する程度なのですが、宣伝までしていただいてありがとうございます笑


ちなみに私は生徒さんやご友人はじめ、皆さんがお持ちのギターの自慢をお聞きするのが大好きです。笑


考えてみますとギターのレポートも、オーナー様自身がするというのは心がこもって一番魅力が伝わるかもしれませんね。親バカというと大変失礼ですが、せっかく気に入っている自分のギターの魅力を語っていただくのは、熱量も違いますし、読み手にも伝わりますね。

私もぜひしたい!という方がおられればぜひご連絡ください笑。



ギターのサウンドやルックスは千差万別で好みも大きく分かれます。素材と設計で音が大きく変わりますね。

料理と同じでやはり好みのさはあると思います。

でも自分の持っているギターが可愛くて仕方がないのはとても素晴らしいことだと思います。

またこの企画はぜひやってみたいと思います。

フォルヒのオーダーの受付やご相談も引き続き取り扱っています。

素材やサイズごとの選び方、演奏スタイルごとの選び方などでなど、バリエーションが多い分とても悩ましいと思います。

スタジオmの先生時代からですとトータル50本近く?フォルヒを紹介してきたと思います。
プレイヤー目線で予算内でぴったりのギターを作れるようにサポートできると思います。



さて最後に近況報告ですが、最近はフォルヒもエアーズもコロナ渦の入荷遅れと需要の拡大により在庫希少の状態が続いております。

それでも自粛下でアコギ人気が高まっているのは嬉しいことですね。




また今年に入って新たにソロギターを始めたい!といって習いに来られた方も数名おられます。

今までソロギターに接したことがない方が、毎回目を輝かせながら楽しそうにレッスンしておられるのを見るのは本当に嬉しいです。いい仕事をさせていただいております。

近くエアーズのOM45スタイルのオーダーが届きます。今まで一緒に考えさせていただいたオーダーでも群を抜く究極度です。こちらもレポート予定です。



最近私たち夫婦は西村ケントくんにハマりすぎていまして、今夏発売予定の楽譜がいつ届くのかが本当に楽しみです。


最後にもう一つ、先日あるギター誌に少しですがインタビューをしていただきました。予定通りであれば動画も連動でアップされます。

またこのブログなどでご報告できたらと思います〜。




アコギの奏法や選び方に関する相談は引き続きメールにて受け付けております。お待たせしてしまうこともありますが、気長にお待ちいただければ幸いです〜。








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